アジア短信

8月10日(土)

北朝鮮、再び飛翔体発射 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は東部・咸興付近から日本海に向けて体を2発発射した。韓国大統領府は飛翔体を「短距離弾道ミサイルと判断する」と発表。韓国軍によると、約400キロ飛行し、高度は約48キロだった。

インドがカシミール自治権剥奪 インド政府が、4〜5月の総選挙の公約通り、パキスタンと領有権を争う北部ジャム・カシミール州の自治権を剥奪し、支配強化に乗り出した。カシミールの住民はかねて「われわれは(印パ両国の)政治の道具にされてきた」と反発。度重なる軍事衝突で揺れ動いてきた生活がさらに不安定になることを懸念する住民は、5月の現地取材時に、インドへの憤りとパキスタンへの不信感をあらわにしていた。

米軍部隊、来年11月撤収へ─アフガン 米誌タイム(電子版)によると、米国のハリルザド・アフガニスタン和平担当特別代表は、来年11月末までにアフガンから大部分の米軍部隊を撤収することで反政府勢力タリバンと一致したと同盟国に非公式に伝えた。アフガン戦争終結を模索するトランプ大統領としては、来年11月の大統領選までに米軍を撤収させ、外交成果として有権者にアピールする狙いがあるとみられる。

韓国、日本への輸出優遇除外 元徴用工訴訟の問題を発端とする日韓両政府の対立は、事実上の対抗措置の応酬に発展した。韓国は日本の対韓輸出管理厳格化に屈せず、日本を標的に同様の措置を取ると発表。日本は徴用工問題で韓国が具体的な措置を講じなければ、さらなる対抗措置も辞さない構えをちらつかせる。1965年の国交正常化後最悪と言われる日韓対立は激化の一途だ。

12日(月)

インドネシア東端パプア州、武装集団が警察官殺害 インドネシア東端パプア州のプンチャック県ウシル村で活動中の警察官が正体不明のグループに拉致され、約6時間後に殺害されているのが発見された。グリーンランドに次ぐ世界で2番目に大きな島「ニューギニア島」は、東半分を独立国であるパプアニューギニアが占め、西半分はパプア州と西パプア州からなるインドネシア領となっている。

14日(水)

パキスタン首相がカシミール演説「インドに反撃も」 パキスタンのカーン首相は、独立72周年の記念日を迎え、インドと領有権を争うカシミール地方のパキスタン側を訪問、インドが同地に対する攻撃を計画していると主張し「対応する準備がある」と演説した。インドが自国北部ジャム・カシミール州の自治権を剥奪し、支配強化を図った問題を踏まえた演説で、インド政府の反発は必至だ。

香港の優遇措置見直しも─米国務省 米国務省報道担当官は中国当局が大規模デモの続く香港との境界付近に武装警察隊を展開させていると伝えられていることに「深い懸念」を表明した。その上で「香港の自治が侵害され続けるなら、国際問題に関する(香港の)特別な地位が脅かされる」と述べ、米連邦法に基づく優遇措置の見直しにつながりかねないと警告した。

15日(木)

韓国大統領、日本に「対話と協力」呼び掛け 韓国の文在寅大統領は日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説し、「日本が対話と協力の道に進むなら、われわれは喜んで手をつなぐ」と語った。

17日(土)

アフガンで自爆テロか、200人超死傷 アフガニスタンの首都カブールで結婚式の式場で自爆テロがあり、50人以上が死亡、150人以上が負傷した。当時、式場には1000人以上が集まっていた。

20日(火)

台湾への戦闘機売却を承認─米政府 米国務省は台湾へのF16戦闘機売却を承認し、議会に正式に通告した。新型のF16計66機と関連機材など売却規模は総額約80億ドル(約8500億円)。

22日(木)

韓国、GSOMIA破棄 韓国政府は日韓防衛当局間で軍事機密のやりとりを可能にする軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表した。同日午後の国家安全保障会議(NSC)で破棄の方針を決定し、文在寅大統領が了承した。繰り返される弾道ミサイル発射など北朝鮮の脅威に対抗する日米韓の安全保障の連携は、文政権下で後退を余儀なくされる。

中国に深い懸念を表明/米国務省 米国務省のオルタガス報道官は声明で、中国がベトナムの主張する南シナ海の排他的経済水域(EEZ)で、石油やガス開発への妨害行為を続けていると指摘し、「深い懸念」を表明した。その上で、「中国の海洋紛争の平和的解決への取り組みに重大な疑問が生じている」と警告した。オルタガス氏は、中国が13日に、政府所有の調査船に武装した船舶を同行させ、ベトナム沖の海域に展開したと説明。また、中国は過去数週間、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の経済活動への干渉を繰り返し、外国の石油、ガス企業との提携を打ち切り、中国国営企業とだけ協力するように強要していると非難した。

23日(金)

中国、韓国のGSOMIA破棄に賛同 中国外務省の耿爽副報道局長は、韓国が破棄を通告した日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について「2国間の取り決めは地域の平和と安定、朝鮮半島の和平プロセス推進に役立ち、第三国の利益を損なわないものであるべきだ」と述べ、反対の立場を改めて強調した。協定破棄に事実上賛同する発言と言える。

24日(土)

北朝鮮、弾道ミサイル発射 北朝鮮は午前6時44分(日本時間同)と同7時1分(同)ごろ、東部の咸鏡南道・宣徳付近から弾道ミサイルを2発発射した。それぞれ約400キロ、約350キロ飛行し、日本海に落下したとみられる。短距離弾道ミサイルと推定され、高度は97キロ、速度はマッハ6・5以上。日本政府と韓国軍が発表した。

米大統領 北朝鮮の発射、問題視せず トランプ米大統領は北朝鮮が再びミサイル発射に踏み切ったことについて「多くの国が短距離ミサイルの実験を行っている」と述べ、今回の発射も問題視しない考えを示した。ホワイトハウスで記者団に述べた。また「(金正恩朝鮮労働党委員長は)ミサイル実験が好きなんだ」とも語った。

25日(日)

韓国軍、竹島で軍事訓練 韓国海軍は韓国が実効支配する島根県竹島(韓国名・独島)の「防衛」を想定した軍事訓練を開始した。韓国メディアによると、規模は例年の2倍。輸出管理厳格化や軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄通告で対立が深まる日本を強く意識したとみられ、日本政府は訓練に抗議し、中止を求めた。

26日(月)

新首都はカリマンタン東部、インドネシア大統領 インドネシアのジョコ大統領は首都の移転先にカリマンタン島東カリマンタン州の東部を選んだと発表した。国会の議決を経た上で、政府や議会、官舎、ダムといった施設とインフラを整備。2024年までの移転開始を目指す。

27日(火)

中国、豪作家を逮捕 オーストラリアのペイン外相は中国で身柄を拘束されている同国出身の豪作家、楊恒均氏がスパイ容疑で23日に正式に逮捕されたと明らかにした上で、「非常に憂慮、失望している」と表明した。

28日(水)

韓国にGSOMIA破棄の見直し要求─米国防総省高官 シュライバー米国防次官補(アジア太平洋安全保障担当)は米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)で講演し、韓国が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を通告したことについて「韓国が直ちにGSOMIAに復帰し、合意を更新することを求める」と述べ、見直しを要求。また、日韓両国が問題解決のための対話を行うよう促した。

30日(金)

中国共産党が10月に重要会議 中国共産党は中央政治局会議を開き、10月に重要会議である第19期中央委員会第4回総会(4中総会)を北京で開くと決めた。主要議題は「国家統治能力の現代化」などとされ、米国のトランプ政権との貿易摩擦が続く中、新たな方針を打ち出す可能性がある。

9月1日(日)

米、対中関税第4弾発動 トランプ米政権は中国からの輸入品ほぼすべてに制裁関税を広げる「第4弾」を発動した。まずテレビやカメラなど3243品目、約1120億ドル(約12兆円)分に15%を上乗せし、残りは12月15日に実施する。中国も米農産品などに対し、即時に報復し、過熱する「貿易戦争」の出口は見えない。

香港デモ、再び空港妨害 逃亡犯条例改正案に端を発する政府への大規模な抗議活動が続く香港で国際空港に1000人超とみられるデモ隊が押し掛けた。ターミナルに通じる道をバリケード封鎖して利用を妨害、警官隊とにらみ合った。デモ隊の妨害活動で、市街地と空港を結ぶ交通機関は長時間停止し、多くの利用者に影響が出た。