記者会見 2・27

霞ヶ関ファイル

河野太郎防衛相

PFOS処理実行計画

【大臣】冒頭3つプラス1つあります。プラスの方は、9時35分頃、北海道の第2師団の旭川飛行場で、ホバリング訓練中のヘリが落ちまして、搭乗員2名中2名に怪我が出ているということがございます。詳細については確認しておりますので、後程、御報告をしたいと思います。それ以外に3件ございます。

 防衛省におきまして、昨日、防衛省が保有するPFOSを含む、消火薬剤の処理を早期に完了するための「PFOS処理実行計画」を策定いたしました。航空機の格納庫や艦艇でPFOSを含む消火薬剤を保有しておりますが、これは、関係法令に基づいて、これまでも適切に管理、処理してまいりましたが、PFOSに対する関心が高まっている状況を踏まえまして、今回策定した計画に基づき、運用上の支障がないように、また、必要な予算が確保されるという前提の下に、PFOSを含む消火薬剤の処分、交換を加速化させます。

 原則として、2021年度末を処理期限としますが、ドック入りを要する艦艇につきましては、2023年度末までを処理目標としております。2つ目、今年の1月15日から実施してまいりました、オーストラリアにおける国際緊急援助活動につきまして、オーストラリア政府との調整を経まして、本日、私の方から国際緊急援助活動の終結を命じました。明日、拠点としているリッチモンドの空軍基地を出発し、明後日、本邦へ帰国する予定です。

 昨日の時点で、C─130H輸送機2機が車両及び消火関連器材延べ約11トン、オーストラリアの軍人、予備役、消防士及び被災者約600名の輸送を実施しております。今日まで、現地において活動を継続しております。

 3つ目、明日、明後日にかけ、海上自衛隊佐世保地区、陸上自衛隊相浦駐屯地及び健軍駐屯地を視察にまいります。海上自衛隊につきましては、佐世保地方総監部の状況を、陸上自衛隊につきましては、西部方面総監部の状況をそれぞれ確認するとともに、島嶼防衛の中核を担っている水陸機動団の状況をしっかりと確認したいと思います。日々、厳しい訓練をしている隊員の激励を行うと同時に、現場から様々な要望その他の声を吸い上げたいと思っております。

【記者】新型コロナウィルスの関連ですが、クルーズ船の中で新たに41人の感染が確認されました。防衛省・自衛隊に対する現時点での要請事項と現在の活動・対応状況、今後の見通しを教えてください。

【大臣】チャーター便の方から申し上げますと、現在、隊員約50人が、主に生活支援で、帰国された方の宿泊先での生活支援に当たっております。今日、武漢からの第4便が帰ってまいりますので、これまでに加えて、更に、生活支援要員20名を増員をし、合計70名になるということです。そして、「ダイヤモンド・プリンセス」につきましては、今日から自衛隊の医官5名が乗り込んで支援に当たります。これは、医療の支援を行うということです。

 それから生活支援の隊員は、今のところ、約40名でございます。これは、状況に応じて増える可能性があると理解をしておりますが、これは、クルーズ船の中での生活支援、それから要請に応じてクルーズ船から船外、病院等へ搬送しなければならないニーズがあると聞いておりますので、これも自衛隊でやってくれと言われれば搬送をするということにしております。この「ダイヤモンド・プリンセス」に関する要員につきましては、ベイブリッジを渡ったところに「はくおう」を停泊させ、この「はくおう」にとりあえず要員を宿泊させるということにしております。現時点ではそのような状況です。

【記者】冒頭にあった旭川の事故ですが、命に別状があるのかなど、もう少し状況が分かれば教えて下さい。

【大臣】搭乗2名中2名が怪我をしているという情報だけでございます。

【記者】旭川の件なのですが、2名の隊員の怪我の程度は。

【大臣】わかりません。まだ一報が入ったところです。後程分かり次第、御連絡します。

【記者】辺野古移設についてお伺いしたいと思います。一部報道で、軟弱地盤のデータを防衛省が隠蔽していて、想定強度の3分の1しかないというデータがあると報道があったのですが、事実関係と御認識をお願いします。

【大臣】土質調査の報告書の一部として、昨年に、国会に提出されているものというふうに認識しておりまして、特に隠蔽ということではないようでございます。そのデータにつきましては、船上で行う簡易的なもので、試験結果の信頼性が低い試料を用いた試験ということから、これが設計に使われることはないと認識しております。

【記者】辺野古移設について、特段、計画の変更が生じたりとか、大きな問題が生じたりとかはないでしょうか。

【大臣】ないと思います。

【記者】冒頭にあった、週末に相浦の水機団を見られるのは、おそらく初めてだと思いますが、初めてでしょうか。

【大臣】私は初めてです。

【記者】特に南西方面の環境が厳しさを増している観点から、水機団の意義というか、どういうふうにお考えかという点をお願いします。

【大臣】この水陸機動団、一昨年に新編された島嶼防衛のいわば中核になる、そういう部隊ですので、その状況をしっかり確認してまいりたいと思います。南西諸島を始めとする島嶼防衛は、自衛隊としても今後、力を入れていかなければならないところだと思います。

【記者】肺炎についてですが、医官を出したり生活支援という形ですが、防衛省として、今後どういう姿勢でやっていきたいのか。また、終息する気配が見えませんが、どういうふうに臨んでいこうとお考えでしょうか。

【大臣】とりあえず、今回はこういう事態ですので、自衛隊として、要請には最大限全力で応えていきたいと思っています。今日、国会でも予算委員会で質問がありましたが、こうした災害派遣について今後どうしていくか、一度落ち着いて検討していく必要があろうかと思っておりますが、このコロナウィルスに関しては、今もこういう事態でございますので、とりあえず、自衛隊として、最優先で要請に応えて当たっていきたいと思います。

【記者】PFOSですが、計画は紙か何かが後から出るということでよろしいでしょうか。

【大臣】後で事務方から、御説明が必要ならばさせます。

【記者】オーストラリアの国際緊急援助の件ですが、オーストラリアとは最近関係を深めているようですが、今回の国際緊急援助の意義についてどのようにお考えですか。

【大臣】オーストラリアとの防衛協力は最近、しっかりと進めているところでございまして、関係は非常に友好的でございます。そういう中で、オーストラリアからの要請に応えて、自衛隊はかなり長期に渡って現地で活動をしてくれたと、更なる関係の強化にもちろんつながっていくと思いますし、それぞれ隊員同士の間の信頼関係強化にも役立ったと思っております。

【記者】PFOSに関連してですが、米側もタスクフォースを設置して取り組んでいるかと思うのですが、米側の調整状況について、何か最新のものはありますでしょうか。

【大臣】米側も報告書が出るというふうに聞いております。米側はPFOSだけでなく、PFAS全般についてと認識しておりますので、結論が出れば、代替する薬剤の開発なんかもできれば、日米で共同でやっていかなければならないと思いますので、国防省としっかり連携をしていきたいと思っております。

【記者】PFOSですが、処分、廃棄する期限というのは、アメリカ側もその期限に合わせるとかは考えていますでしょうか。

【大臣】これは自衛隊の話です。

【記者】時期を合わせるという要請といったことは。

【大臣】特に考えていません。米側は国防省が様々な報告をするということですので、米側には国防省のタスクフォースのプロセスがあると思います。

 自衛隊として運用に支障が出ないということと、予算がしっかり確保されるという前提で、この目標でやりたいと思います。

 先程のヘリコプターの案件、少し詳細でございます。

 2月7日本日9時35分頃、陸上自衛隊第2師団第2飛行隊のUH─1Jヘリコプター1機が、旭川飛行場において、ホバリング中に横着、横にひっくり返ることですね。現時点において、民間機と基地の外に影響はないようであります。搭乗者2名のうち、1名負傷と聞いております。1名負傷し、2名とも意識はあるということでございます。

情報戦に泥縄の対応

記者コラム

 法務省は1月21日、ホームページに「国内外からの様々なご指摘やご疑問にお答えします」と、我が国の刑事司法制度についての説明を掲載した。レバノンに逃亡した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が自己の不法行為を正当化するために、我が国に仕掛ける情報戦に対応してのことだが、逃走を許した後では、泥縄の誹りは免れまい。

 被疑者や被告人に自白を強要するため、長期間勾留し保釈を容易に認めないとして、我が国の司法に海外メディアは「人質司法」のレッテルを貼っているが、これは2018年11月のゴーン被告逮捕後、続いてきたことだ。背景には、ゴーン被告と弁護団が仕掛けた情報戦があった。

 検察当局の強い抵抗があったにもかかわらず、裁判所が同被告の保釈を認めたのは、海外の評価を意識し過ぎたからだった。しかし、こうした信念のない対応が裏目に出て、同被告に逃走の隙を与えることになった。

 一方、グローバル化した社会では、自国の司法制度に対する海外からの信頼を勝ち得ておくことの重要性が増すのも事実。「桃李もの言わざれども下自ら蹊(こみち)を成す」と「史記」にあるがごとく、とかく日本人は正しいことを行っていれば黙っていても「理解される」と、他者を信頼し対応するきらいがあるが、国際社会ではこの姿勢は通用しない。

 その意味からも、ゴーン被告との情報戦に勝つためにも、我が国の司法制度についての情報発信は極めて重要である。

 今回のホームページでは、たとえば有罪率が「99%」を超えることについて海外から批判があることを意識し、検察官が起訴する割合いは「37%」にとどまっていることを説明した。つまり、証拠がそろい、有罪の可能性が高い事件のみを起訴している結果として、有罪率が高くなっているのだ。

 こうした内容を、日本語のほか、海外を意識して英語でも発信したのは一歩前進だ。しかし、ゴーン被告が持つ情報ネットワークを考えると、フランス語やアラビア語での情報発信も必要だろう。この情報戦には、国の威信がかかっている。