ジム・ロジャーズはなぜ北に賭けるのか
韓半島統一でエキサイティングな場所に

 世界3大投資家の一人米国人ジム・ロジャーズ氏が2月3日に、韓国・京畿道の国際展示場「KINTEX」で開催された「世界サミット2020」(主催・国際NGO団体UPF)で講演し、「北朝鮮と韓国の軍事費が縮小するなら、そこにはたくさんの資源が残り大きな可能性が開ける。38度線が解放されれば、中国やロシアを巻き込んでアジアは平和と共栄の社会が実現するだろう」と述べ、朝鮮半島問題解決の重要性を指摘した。

 さらに翌日の経済セッションでロジャーズ氏は「韓国と北朝鮮に分断された韓半島に統一国家が生まれれば、同半島は世界で最もエキサイティングな場所になる。北朝鮮には安価で高い教育を受け、訓練された労働力があり、大量の天然資源が眠っている。それらが韓国の資金力や技術力と結合することになり、北朝鮮では、すべての産業が成長する可能性がある」と総括し、投資家はもっと北朝鮮の経済開放の動向に関心を払うべきだとの見解を述べた。

 ジム氏は、かつてジョージ・ソロス氏とともにヘッジファンドを運営し、10年間で約3800%という驚異的なパフォーマンスを叩き出したことで知られる。現在はシンガポールを拠点に現役投資家として活動し「21世紀前半はアジアの世紀、後半はアフリカの世紀」というのが持論で東アジアに積極的投資を行っている。

 ただ、ソロス氏と袂を分かって以後、鳴かず飛ばずの状態が続いていることから、投資アナリストの中には「北朝鮮はリスキーという次元ではなく、落とし穴そのもの。最初から穴しかないところに、自分から突っ込むのは、落とし穴にはまるとさえ言わない」と国際政治音痴ぶりを酷評する向きもある。一方で「北朝鮮は可能性に満ちた国であることは間違いがない。何より、何もない国だからこそ、一から新しい国を作ることができる。過去のしがらみがないゼロからのインフラ構築や超ハイテク社会、IT(情報通信)やAI(人工知能)などを駆使した政治や社会など未来を先取りした国家を構築できる。要はこの国を指導できるリーダーの腹一つにかかっている」との見立てもある。

 なおジョージ・ソロス氏やウオーレン・バフェット氏などとともに世界3大投資家の1人として知られるロジャーズ氏は若い時、世界をオートバイで回り、不動産投資家の眼からつぶさに世界的大都市の浮沈を分析し、以後の投資活動に活かしている。