記者会見 1・22

永田町ファイル

二階俊博自民党幹事長

憲法改正

【二階幹事長】(代表質問を終えて、)国土強靭化の重要性について安倍内閣が大変理解を示していただいたと思っています。特に国民の生活その他困難に直面されている人々に対して、しっかりと支援をするという呼び掛けに対しても、政府は理解を示された。

 経済・外交の重要問題については、温もりのあるしっかりとした答弁をしていただき、おそらく関係者は満足していただいたのではないか。普段見過ごされがちな弱い立場の方々の困難に寄り添って、そこに政治の光を当て続けていくことが自民党の政治だということをご理解いただきたいという思いがあるわけですが、このことは、総理をはじめ、関係者の皆様にも理解していただけたと思います。

【記者】憲法改正については国会が発議するものでありながら、あえて今回総理に質問されたというのは。

【幹事長】憲法改正は常に国民の皆さんの理解、関心を求め続けていかなければならない課題ですから、短いセンテンスではありましたけれども、せっかくの機会ですから、触れさせていただいたということです。また、どうせ機会があるでしょうから、憲法改正の問題に特化し集中して党内でも大いに議論していきたいと思います。

【記者】総理の答弁で、日中関係について明確にお話がありました。これについてどのように考えましたか。

【幹事長】日中関係は、他の外交諸案件と比べて遜色がないというか、寧ろ、重要性が増している問題ですね。地理的な条件、相手国の国土の広さ、そして国際社会における地位。そうしたことを考えると、日中関係が今後も極めて重要であることには変わりない。そういう意味で、我々はしっかりした対応をしていかなければいけないという気持ちです。

【記者】習近平国家主席が来日されるということで、自民党の一部で国賓来日について、尖閣の問題も含めて迷っている一面もありますが、この点についての見解は。

【幹事長】世界の大国の一つである中国の国家主席が来日されることは、国民を挙げて歓迎することが大事です。些末なことでいろんな議論をすることはどこの国にもありますし、特に日本にはそういう人はまあまあいるわけですから、それはそれでよくお聞きしたら良いのではないですか。

【記者】憲法の話に戻りますが、常々おっしゃられているように拙速な議論を避けるようにというようなご指摘が今回もありました。総理は期限ありきではないとしつつ、参院選世論調査で国民的意識が高まっている、と国会での議論の進展を期待するような答弁でしたが、これについてはどのように聞かれましたか。

【幹事長】当然これはずっと先に延ばしていいというものではありません。できるだけそうした議論を始めていくということですね。期限を決めないで始めていくことが大事です。ですから、今、スタート台に立つことに対してお互いの認識が一致した、そういう国会ではないかと思います。

【記者】(代表質問の)最後に、政治を行うに際し大切なことは謙虚に丁寧にあり続けることとおっしゃいました。総理からそれについて言及がありませんでしたが、野党の席からは拍手も起こりました。あえて最後にこういったことをもってこられたその狙いはどこにありますか。

【幹事長】政治は常に謙虚であり、常に国民の皆さんに丁寧にご説明することが大事だ、ということを改めて最後に強調しておきたかったからです。

【記者】それは安倍総理に改めて意識してほしい点ということで宜しいでしょうか。

【幹事長】それは代表質問ですから、それを代表が意識するのは当然ですよ。

 安倍総理に陳情するものではありません。あえて言って聞かせることでもない。

【記者】枝野代表からは桜を見る会、IRの問題、大臣の辞任などの質問がありました。総理の答弁をどうお聞きになられましたか。

【幹事長】一所懸命分かりやすく説明しているわけです。あちらの方々が、あんなことばかりずっと続けて言っているわけですよ。桜ももう散ってしまいましたから。しっかり自らのことに対してよくお考えいただいて、国会審議をより充実感のあるものにしていきたい。あんなことばかり述べていることに、そんなに満足しているわけではないですよね。来年の桜が来ないうちに、早くこの問題から次の建設的な問題に議論を移していかないと駄目。

 新聞やマスコミが取り上げてくれるから、面白いからってやっている。まあ、こんな程度でしょう。

【記者】今の「桜は散った」というのは桜を見る会の問題はとりあえず終わって、もっと本質的な議論をすべきだということですか。

【幹事長】現状を言っているのですよ。咲いていますか。

【記者】玉木さんの(代表)質問の中で、夫婦別姓について議論される場面がありました。

 玉木さんは夫婦別姓を認めるべきだという、それに対して「それなら結婚するな」という野次が議場からあった、と壇上から玉木さんの指摘がありました。こういうやり取りを幹事長はどのようにお聞きになられましたか。

【幹事長】野次をした人の本当の意見を断片的に野次で聞いて、議場でそれをどう聞いたかって言われても、それほど重大な関心を寄せているわけではありません。

【記者】総理の答弁で、「民主党時代の」といった文言が、桜を見る会の招待者名簿などの中で何回か出る場面がありましたけれども、長期政権になっている中で、改めて民主党政権を持ち出して批判をする姿勢に関してはどのように受け取っていますか。

【幹事長】民主党も、自分たちが政権を担った時期があるわけですから、そこらをお忘れにならないで、しっかり思い起こし充実したご議論をしていただきたい、という思いが総理にあるのでしょう。

【記者】河井克行議員に関して、河井案里参議院議員とはまた別に、ご自身の衆議院選挙でも車上運動員に対する規定を超える報酬を支払っていたという報道が出ていますが、この点について、説明責任を改めてどのように果たされるとお考えですか。

【幹事長】それはお尋ねがあった場合、議員としては適当にお話しなされば良い。質問の意図がどこにあるのかよく確かめてからおやりになったら良いと思います。

「桜」追及の原因はマスコミに

記者コラム

 とぼけた語り口でズバリ本質を突く

──これが二階幹事長流の話法だ。代表質問で立憲の枝野代表が「桜を見る会」について追及したことについて記者団から問われた幹事長は、「あんなことばかりずっと続けて言っている。言っている方は虚しいと思うよ。桜ももう散ってしまった」と返答。さっさと建設的な議論に入るべきだと主張した。その上で、「これは新聞やマスコミが取り上げてくれるから面白いからやっているんですよ」と指摘、「まあ、こんな程度でしょう」とあっさり本音を言ってのけた。

 この本意を解説すると、枝野代表らが騒ぎ立てているのは新聞、マスコミが取り上げるからで、それに乗せられて国会で追及している、彼らのレベルはそんな程度のもの、ということだ。つまり質問した記者たちに向かっても「あなたたちもそろそろ報道の中身を考え直したら」「もっと建設的な論戦の必要性を訴えて野党の姿勢を変えてよ」と示唆しているのである。

 桜を見る会の出席者名簿にかかわる公文書取り扱いについては、さらに厳格に対応するよう必要な措置を取るべきだろう。首相も招待者の選定基準をあいまいにし参加者数を増やし続けてきたことなど反省すべき点はある。しかし、いつまでも「桜」ばかりに固執していないで、最重要の本予算案の審議に早く入り、国民生活の在り方や国家像などについて議論を深めるべきではないか。