永田町ファイル

記者会見

茂木敏充幹事長

日米首脳会談 5・24

【幹事長】11日昨日、岸田総理とバイデン大統領による日米首脳会談が行われ、共同声明が発表された。ロシアによるウクライナ侵略により、国際秩序が挑戦を受けているこのタイミングで、バイデン大統領が日本と韓国、東アジア地域を訪問したことは、米国によるインド太平洋地域への確固たるコミットメントを改めて示すことになったと歓迎したい。
日本を取り巻く国際情勢は一段と厳しさを増している。その中で、日米同盟のさらなる強化や「自由で開かれたインド太平洋」の実現、さらには経済、気候変動はじめ、あらゆる面で、日米の緊密な絆がカギとなり、今回の首脳会談は、その大きな一歩となったと考えている。
本日も日米豪印、QUADの首脳会合が開催され、来月、ドイツ・エルマウで開催されるG7サミットまで、重要な外交日程が続く。政府・与党として、国際秩序の維持と強化に向け、日本が中心的役割を果たしていくことを内外に発信していきたい。
高市政調会長からの話だが、今週も、火曜、木曜の定例日に政調審議会を開催する。いずれも政府への提言案が議題となっている。なお先週は、政調全体会議を開催して、「骨太の方針」の骨子を議論した。現在、政府では、政調全体会議での議論や、これまでの提言等を踏まえて、本文の策定作業が進められている。来週から再来週にかけて、「骨太」のほか「新しい資本主義実行計画」、「デジタル田園都市国家構想基本方針」などの平場の会議、手続きも進められることになる。これらの手続きは、これまで数カ月にわたる議論の集大成でもあるので、しっかり進めていきたいという話だった。
柴山広報本部長代理からは、5つくらいの社の直近の世論調査の結果報告があった。内閣支持率、そして自民党の支持率は高い水準を維持している。一部の社では発足以来、内閣支持率が最高となっているところもある。またコロナ対応、ウクライナ対応についても高い評価を頂いていると。一方、野党、特に維新の支持率の低下が見られるという分析があった。

【記者】国連の安保理改革について伺いたい。バイデン大統領は昨日の日米首脳会談で、改革された安保理に応じて、日本を常任理事国になることを支持するという考えを表明した。日本は安保理改革の前進を目指しているが、バイデン大統領の発言について、どのような意義があると考えるか。
【幹事長】大変心強いと思っている。アメリカはP5の主要なメンバーでもあるし、この国連改革の必要性についてはG4や、また途上国も含めてこれまで議論をしてきた。ウクライナ問題やそれ以外の問題でも、安保理常任理事国の問題もあり機能していないという指摘がされている。国連創設以来、加盟国の数も圧倒的に増えている。それも考えた時にその代表制の在り方も大きな問題になっている。日本としても、この安保理改革を、主導していきたい。そういった中で、改革された安保理に日本がメンバーとして加わることについて、同盟国でもある米国のバイデン大統領が支持を明確に表明したことは非常に大きいと考えている。
【記者】防衛費について、バイデン大統領との会談の中で、岸田総理が相当な増額を確保する決意を示した。防衛費の増額について今回の夏の参院選でどのような位置づけにするのか。

【幹事長】防衛費の増額の前に、ウクライナ情勢であったりとか我が国を取り巻く安全保障環境が極めて厳しくなっているという現状に対して、秋から年末に向け、新たな国家安全保障戦略をはじめ、三つの取りまとめを行っていく。具体的な数字は、その議論のプロセスの中で決まっていくということだ。少なくともベクトルとしては、かなりな増額を行うことによって、厳しい今の安全保障環境にしっかりと対応できるような防衛体制を整備していく。これからそういうことも踏まえながら選挙公約についても詰めの作業を行っていきたい。

【記者】仮に防衛費を増額した場合、財源についてはどのように考えるか。

【幹事長】この秋以降のプロセスの中でこの額は決まってくる。それが全体の予算の中でどうしていくかという調整の問題になってくると思っている。ただ、これまでの発想にとらわれ全てスクラップアンドビルドとか、そういったかたちでは対応できない国際環境にあることは間違いないと私は思っている。

【記者】来年のG7サミットについて。日米首脳会談後の会見で、首相は来年のG7サミットの開催地を広島市にすると表明した。被爆地での開催は初めてとなるが、その意義や核軍縮への期待、首相決断への評価は。

【幹事長】核なき世界を目指すことは首相にとって極めて大きな目標、中心的な課題だ。その象徴としてG7のサミットが広島で開かれることは極めて大きいと思う。以前、オバマ大統領や様々な世界の要人も広島、長崎の被爆地を訪問し、被爆の実相にも触れていただいている。G7の首相がこぞって広島に集まる。そして、核なき世界に向けて決意を新たにする、こういったことは全体のプロセスを動かしていくという意味からも極めて大きな一歩になると考えている。

参議院選挙公約  5・30

【記者】参院選の選挙公約で、どういった点を強く打ち出したり、重視していきたいか、お聞かせいただけますか。

【幹事長】まず一つは、ウクライナ情勢はじめ、これは国際的にも、また我が国を取り巻きます安全保障環境と、厳しさを増しているのは間違いないと思っておりまして、外交安全保障と、こういった問題について自民党が責任を持って、国民の生命、財産を守ると、そして我が国の主権、領土・領海・領空をしっかりと守っていく。
そして、これから経済の立て直しを図っていかなければならない。そういった中で岸田総理の提唱する新しい資本主義と、これから実行計画、そしてビジョンと、党の方でも新しい資本主義の実行本部でも提言の取りまとめを行ったところでありまして、自民党として、こういった形で日本経済を再生していく、こういった姿も示していきたいと思いますし、同時に地方を活性化すると、こういう観点から当然その農林水産業であったり、様々な産業と、この再生にもこれから力を入れていく。

日米で国連改革戦略案を

記者コラム

来日した米国のバイデン大統領と岸田文雄首相との日米首脳会談(5・23)で、成果の一つとして取り上げるべきは国連改革に共同で対処する意向を確認できたことだ。国連安保理常任理事国のロシアによるウクライナ侵攻で、機能不全に陥る安保理の改革にバイデン大統領が賛意を表明。改革実現後に日本が常任理事国入りすることを支持すると約束した。力ずくで現状変更を試み世界の平和と安定を脅かすのは中国も同様だ。国連限界説が指摘されているさ中での米国の意思表明は日本にとってありがたい。
国連憲章では、国連が第二次世界大戦中、連合国の敵国であった枢軸国の日本、ドイツ、イタリアなどの国からの侵略に備え強制行動をとることもできるようになっている。つまり、日本が旧敵国条項(53条、107条)の該当国になっているのが現状なのだ。1995年の第50回国連総会で旧敵国条項の改正・削除が賛成多数で約束されたものの憲章改正の要件を満たさず実現していない。日本としてはこれまでも安保理改革に努力してきたが、なかなか進んでいない。
ロシアが侵略国となりながら安保理で自国の制裁反対をする。中国が勝手に国境線を変更しながら国連は手を出せない。北朝鮮がミサイル発射などで明らかな安保理決議違反を犯しながら、ロシアと中国の反対で制裁ができなくなっている。「国連の真価が問われている。改革の機運を盛り上げる好機」だと自民党関係者は指摘する。バイデン大統領はリップサービスにとどまらず、日米で国連改革戦略案を練ってもらいたい。