永田町ファイル

記者会見

立憲民主党 泉 健太代表

補正予算案

【代表】補正予算案の中身がない。特に物価高対策がないことについて繰り返し質問させていただいた。また、本日、大串議員から知床の遊覧船の事故の問題が取り上げられた。国土交通省による特別監査とか抜き打ちの検査が型通りのものに終わっていたことが分かってきた。少なくとも昨年の特別監査そして10月の抜き打ち検査のときも当事者は留守にしていた。そして、その後、留守にしていた当事者と会うこともなく次の抜き打ち検査を行わなかったという意味では、3度にわたって是正の機会を逃したと言える。
今日、政府側の答弁の中で、事業者の意識欠如を把握できなかった国土交通省として責任を果たすことができなかったと、事実上、国土交通省の責任を認めた。改めて国土交通省の責任を問うていかねばいけないと思っている。国土交通省は明確にこのことを関係者にも伝えるべきだと思う。
そして、昨日、元自民党の吉川元農水大臣に有罪判決が出た。鶏卵の汚職で賄賂認定ということだ。安倍政権の時の大臣・副大臣で、立件され一審で有罪になったのが5人いる。
強い安倍政権の裏で何が行われていたのか、この体質の異常さを感じさせる。要職にあるものがモラルを失い、カネにまつわる違法行為を行い5人とも有罪ということで、非常に大きな闇を感じる。こういったことを変えるために政権に緊張感を持たせていくことも含めて野党が頑張らねばいけない。
また、細田衆院議長の発言については波紋が広がっている状況だ。細田議長は通常国会閉会後、訴訟も視野に入れて検討するとのコメントを出したようだが、われわれは議院運営委員会における説明を求めているので早期に国民に説明をすべきと思う。辻元清美前衆院議員の地元で事務所が荒らされ、福山哲郎参院議員が朝の街頭活動で暴力を受け、山口県でわれわれの立候補予定の新人・秋山賢治さんの自宅の玄関付近に異臭のする液体をまかれた。この山口県における被害は非常に少数であるチャレンジをする政治に対してプレッシャーを掛けようとする意図を感じる。これは許されることではない。
外国人観光客を解禁すると岸田総理が発表されたが、インバウンドはわが国にとって重要な外貨獲得の手段でもある。また、円安なので特に外国人観光客が流入することが考えられる。徐々に受け入れを再開するということだが、科学に基づいて水際対策をちゃんと考えてもらいたい。

【記者】知床の遊覧船事故の問題で、国交省が部分的に責任を認めている状況の中で、大臣の責任は不信任に値するものなのか。また、内閣不信任につながるのか。

【代表】大臣就任以降も抜き打ち検査が空振りに終わった中で、次なる抜き打ち検査があったにもかかわらず、それが果たされていない。国土交通省の指導監督が果たされていないということから言えば、国交大臣の責任は当然ある。それを踏まえて国会での対応を考えていきたい。

【記者】物価高を止めるためには金利を上げることが必要ではないかということを泉代表が岸田総理に問われたと思うが、金融政策についてどう進めていくべきか。

【代表】金融は常に市場との対話である。急激なものは極力避けなければいけない。
例えば、ヨーロッパ中央銀行の総裁が7月からの利上げについて準備が整ったという発言をしていることを踏まえても、常に対話を大事にしていると思う。日本政府も日銀も当然そうあるべきだ。その上で、ただ放置しているというのは、アベノミクスで自分たち自身をがんじがらめにしてしまっている。金融政策の幅を失っている。この政策をいつまで進めるのか。
それを変えることを考えるべきではないかと専門家も言っている局面だと思う。政府・日銀として幅のある政策を目指すことが必要だ。

【記者】昨日、代表は総理に対して子育て予算の倍増の時期について質問していたが、立憲も子育て予算の対GDP比3%台に引き上げると言っている。これをいつまでに達成する目標と考えているか。

【代表】われわれは一つ一つの政策を実施する積み上げの政策をすでに提示している。それを合算すると3%になるという考え方だ。政策の実現の年限というのは、われわれが政権を取らないとなかなか難しい。

【記者】防衛費だが、立憲としては2%ありきでなく積み上げだと言っている。積み上げていった結果の2%というのは適切と考えるか。

【代表】真に必要な防衛力を整備する、という考え方なので最終的な数字がどうなるかということは積み上げの結果で決まってくる。ただわれわれは少なくとも最初に、中身が分からずに額やパーセンテージが示されるという立場には立たない。

【記者】子育ての方はGDP比3%台に引き上げていく、防衛費の方は目標ありきではない。目標を立てるものと立てないものの考えの違いは何か。

【代表】逆にそれを総理に聞きたい。防衛費については相当な増額と言ったし、まわりからは2%という数字が聞こえてくるが、子供・子育て予算について相当な増額と言ったわけではなく倍増とは言った。しかし、メニューはまだ示されていない状況なのでその点を総理に聞いたということだ。

【記者】立憲としてはこの二つの違いをどう考えているのか。

【代表】われわれは防衛費については2%ありきではない。そして子育て予算についてはわが党が訴える政策について積み上げれば今の倍増になると言っている。

【記者】参議院選挙の関係で伺いたい。立憲民主党は女性候補者を5割とする目標を掲げている。選挙区ではこれは達成できているが、比例においては3割余りにとどまっている。
泉代表として、現状の受け止めと、比例で女性候補の割合が5割に達していない要因についてどうお考えかお聞きしたい。

【代表】ありがとうございます。
選挙の始まる日まで、毎週毎週、例えば公認を発表していく中で、率がその都度その都度変わることを気にしていてもあまり意味はないのかなと思っていますので、最終的にどれぐらいの候補者の擁立になるかということが全てではないかと思います。

【記者】現状で比例が3割に達していないことの要因についてはどのようにお考えか。

【代表】やはり最終的にどうなるかが一番重要ではないかと思います。

総合的な安保政策を示せ

記者コラム

日米首脳会談で岸田首相が米国のバイデン大統領に、防衛費の「相当な増額」を確保すると強調した。その1週間後に政府が示した経済財政運営の指針「骨太の方針」案にも「防衛力を抜本的に強化する」との文言が盛り込まれた。安倍晋三元首相も「防衛費は6兆円の後半から7兆円が見えるぐらいの増額が『相当な増額だ』」としGDP(国内総生産)比2%の増額を主張している。
こうした情勢に対して立憲民主党の泉健太代表は「2%ありきでなく積み上げだ。真に必要な防衛力を整備する考え方なので、最終的な数字がどうなるかは積み上げの結果だ」と答えている。そこで問われるのは、何をどう積み上げるのかのシミュレーションだ。そのためには、日本周辺が厳しい安保環境に変化していく中で、日本にとって「真に必要な防衛力」とは何かを明示しなければならない。
ところが、立憲はそれを党内で議論した跡が見られない。「着実な安全保障」という参院選のスローガンが先行している。また、「物価高がこれだけ進んでも、政府・日銀は有効な対策を打てていない」として「物価高と戦う」ことも参院選公約の第1の柱に据えているが、もし日本周辺で有事が発生すれば物価高や海外資本の逃避が想定される。その際の経済、金融、財政についても考えているフシは見当たらない。総合的な安保政策案を示さなければ、政権与党の対案にはならない。