霞ヶ関ファイル
記者会見
末松信介文科相
学校でのマスク規範 5・27
【大臣】冒頭、私から1件でございます。長期化しますウクライナ情勢を踏まえまして、ウクライナ人留学生に対する日本語、あるいは日本文化を学ぶ機会の提供等を目的といたしまして、国費外国人留学生「日本語・日本文化研修留学生プログラム」によります特例支援を実施することになりましたので、ご報告をさせていただきます。いわゆる日研生ですね。
今回の追加支援につきましてでございます。本年の2月24日以降、日本に受け入れました、又は受け入れる予定のウクライナ人留学生につきましては、日本国内の大学からの推薦分70人、在ウクライナ日本大使館からの推薦分30人、合わせて100人を支援対象として公募をいたします。
在ウクライナ日本大使館分は現在ポーランドに滞在中の方でございます。選定されました学生につきましては、従来の日本語・日本文化研修留学生と同様、月額最大12万円の奨学金を1年間支援をすることになります。また、申請に当たりましては、ウクライナ情勢を踏まえまして、特例措置として、学歴とか、あるいは日本語能力とか、提出書類に関する申請要件を緩和する一方、日本語能力につきましては、受け入れ大学に補習授業などのサポートを求めるなど、学生の質を担保しつつ、より幅広い学生を支援対象といたしてございます。
これからの支援に関しましては、近日中に公募を開始をしまして、大使館からの推薦につきましては本年10月から、大学からの推薦につきましては早ければ7月から支援を開始をしたいというように考えております。文部科学省としては、今回の支援を通じまして、困難な状況にありますウクライナ人留学生に対しまして、日本の大学での学びを支援をするとともに、ウクライナの復興をはじめ世界の発展に貢献する人材の育成に取り組むという、そういう熱い決意を持っております。とりあえず、私から冒頭は以上でございます。
すみません、言い間違えました。「退避中」は、大使館が退避中でございまして、ウクライナの方が退避しておられるわけではございません。大使館が移動しているということです、すみません。言い間違いです。
【記者】1問お伺いします。マスクの関係で、24日の会見で体育や登下校中のマスクの着用に関する発表がありました。ただ、学校現場では、実際に体育や登下校中であっても、周囲の状況を気にしてなかなかマスクを外したがらない子供たちがいたりとか、また登下校中なども、子供たちがマスクを外していると近隣住民から学校へのクレームになったりするというような懸念があります。
また、マスクを外していい条件に関しても、体育中だったら周囲との間隔を十分に取れず熱中症リスクがない場合は着用すべきですとか、なかなか条件が難しかったりして学校現場に浸透させるのがなかなか困難ではないかという指摘があります。省としては、昨日付でマスク着用ルールのリーフレットを出されていますが、それ以外に、今後どのようにして学校現場に浸透させていくお考えでしょうか。
【大臣】私の会館事務所にも、理解ができたというお電話もありましたが、今のようなお話も時々ございます。本数的には、現場でどう対応していいかということが分かりましたというお話が多かったんですけれども、先日も会見で申し上げました通り、24日にですね、都道府県教育委員会に対して事務連絡を発出をいたしまして、これから夏季を迎えるに当たりまして、体育の授業の際には、屋外の運動場に限らず、プールや屋内の体育館も含めまして、マスクの着用は必要ないこと、これが1つですね。
それともう1つは、熱中症リスクが高い夏場におきましては、登下校時に、会話を控えるように注意した上でマスクを外すように指導すること、このことにつきまして、改めて周知をいたしました。この2つが一番のポイントでございます。
また、25日には、これらの内容を盛り込みまして、今お話がありました、子供の適切なマスクの着用についての普及啓発を図るためにリーフレット等を厚生労働省とともに作成をいたしたわけであります。学校生活におけるマスクの着用に関する考え方につきましては、従来からは「衛生管理マニュアル」において示してきました。そのものとなりますが、今回作成しましたリーフレット等も活用しながら、教育委員会や学校関係者に対して丁寧に説明し、各学校現場において適切な指導が行われるように促していきたいと思っております。
各学校現場では、長期にわたるコロナ禍の中で、様々な困難に対応しながら、感染対策と学びの継続の両立に取り組んでいただいているものと考えております。これからの季節については、特に熱中症については、何度も申し上げるように、命に関わる重要な問題でありますから、子供たちが安全に、そして安心な環境の中で学ぶことができるように、地域の実情に応じつつ、メリハリをつけたマスクの取り扱いを改めてお願いをしたいと思います。
ですから、地域の実情というものは現場の現場が一番詳しゅうございますので、そこのところは、今言ったこのリーフレットとかですね、熱中症にならないように、屋外・屋内のですね、体育館でも外すようにというお話を申し上げております。
ただ、細かく距離の問題等となったら、相当細かくお考えになってしまうことがあろうかと思うんですけれども、私は、極めて常識的に判断をいただきたいという、そのことを現場で確認をいただきたいという、その判断もつかないというのでは私はいけないと思うんです。やっぱり、きちんと現場で、これだけ分かりやすい話も作っていますし、どうであるかということは、やっぱり現場で、目でご判断いただきたいなと思っています。
はやぶさ2 6・7
【記者】「はやぶさ2」が「小惑星リュウグウ」から採取した試料の分析結果が報道されました。それに対する期待は。
【大臣】 私自身も大変注目しています。この「リュウグウ」のサンプルにつきましては、現在、大学等の、研究所によりまして初期分析が行われているところでございまして、昨日6日、JAXAを通じまして、分析の結果、生命の起源に結びつきますアミノ酸が存在することが判明をしたとの報告を受けております。サンプルの分析結果の詳細につきましては、これから論文などで発表されていくものと承知をいたしておりますが、分析が更に進みまして、地球の生命の起源、あるいは進化など、多くの謎を解明するために新たな知見が得られることを期待をいたしております。
日本の成熟度試す「ノーマスク」
記者コラム
新型コロナのパンデミックが始まった当初、日本は〝マスクの優等生〟だった。個人主義の国々は、国民にマスクを着用させるのに一苦労。米国などは、罰金まで課して着用を義務づけた。
一方、日本はマスク不足で、ドラッグストア前に長蛇の列ができるような状態でも、街を歩けば、だれ1人としてマスクなしの人間を見かけなかった。これを「集団主義」「同調圧力」と批判的にみる向きもあったが、周囲に配慮するのは世界に誇れる日本人の美徳である。
だが、日本文化の成熟度の高さはマスク着用スタート時よりも、平常生活に戻るスムーズさに表れる。もうすぐ夏だ。コロナ感染よりも熱中症のリスクのほうが高まる状況に変わっている。
心配なのは判断力の弱い子供たち。政府の基準では、体育の授業では、登下校中も会話を控えれば不要である。しかし、そこは子供のことだ。「会話を控えて」と言っても、そうはいかない。だから、記者からは「近隣住民から学校へのクレームになったりする」との懸念が伝えられた。
世知辛い世の中になったものだ。マスクなしの外出を認める外国がある中で、野外で子供たちがマスクなしでおしゃべりしたからと言って、目くじらを立てることもなかろうに。マスクが不要な条件については、一応、政府の基準はあるにせよ、「極めて常識的に判断」(末松文科相)すべきなのだ。
この夏、大人の常識的な判断によって、子供の「ノーマスク」時間が増えていけば、間もなく、日本全体もスムーズにノーマスクに戻れるだろう。それでこそ、日本は成熟社会と胸が張れるのだ。