霞ヶ関ファイル

記者会見

岸信夫防衛相

北朝鮮の弾道ミサイル発射 5・26

【大臣】昨日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けまして、先ほど、オースティン米国防長官と電話会談を実施をいたしました。20時45分から21時までの15分間です。会談において、私とオースティン長官は、北朝鮮による一連の弾道ミサイルの発射は、関連する国連安保理決議に違反し、地域のみならず国際社会の平和と安定を脅かすものであるとして強く非難をいたしました。
また、私から、日米首脳会談や日米豪印首脳会談直後における今般のミサイル発射は明らかに挑発行為であり、断じて許されない旨を述べました。その上で、北朝鮮の挑発行動に対して、日米同盟の抑止力・対処力を強化するため、日米の国防当局が引き続き緊密に連携するとともに、日米韓3カ国での緊密な協力を進めていくことを確認をいたしました。
次に、昨日の北朝鮮による弾道ミサイル発射に係る最新の分析状況についてであります。北朝鮮が昨日発射した弾道ミサイルのうち、5時59分頃に発射されたミサイルについては、ICBM級弾道ミサイルと推定しており、本年2月27日などに発射をされた新型のICBM級弾道ミサイルである可能性も含めて、詳細については分析中であります。
こうした認識は、日米間でも共有しております。最後に、日米共同訓練についてです。わが国を取り巻く安全保障環境はより一層厳しさを増しています。北朝鮮は、昨日にもICBM級と推定される弾道ミサイルを発射するなど、極めて高い頻度で、かつ新たな態様で発射を繰り返しています。早ければ今月中にも核実験を実施するための準備が整う可能性があると考えています。一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。
昨日、航空自衛隊のF─15戦闘機は、日本海上の空域において、米空軍のF─16戦闘機と日米共同訓練を実施をしましたが、これは、こうした厳しい安全保障環境を踏まえたものであることは言うまでもありません。
防衛省・自衛隊として、今回の訓練の実施を通じて、日米同盟の即応態勢や緊密な連携を内外に示すことができたと考えております。先般の日米首脳会談において、岸田総理とバイデン大統領は、日米同盟の抑止力・対処力を早急に強化していくことで一致をしたところであります。今後ともこのような訓練を通じ、日米同盟を更に強化するとともに、日米がともに行動していく姿を示していく考えであります。

【記者】3問お伺いいたします。今日の日米防衛相会談はどちら側からの提案で行われたのかというのが1問、あとは、会談の中でですね、北朝鮮のミサイルについて議論されたとのことでしたが、その前日には中露の共同飛行も行われていたかと存じますが、それについて議論がなされたのか、また、ICBMの発表に関連して、北朝鮮側のミサイルの発射数、韓国側と日本側の発射ではズレがございましたが、日本政府側も2発目以外の発射の可能性も含めて分析するとおっしゃっていましたが、何かしら新しい情報が得られたのか、お願いいたします。

【大臣】まず、今回の電話については、昨今のミサイル発射等を受けてですね、お互いに早急に話がしたいということで一致したということです。それから、中露の連携も見られたわけですけれども、そうした一連のわが国の周辺での動き、こうしたことを受けて、今回電話に至ったということであります。それから、3発目のミサイルについてですね、弾道ミサイル2発以外にミサイルが発射された可能性に関し、ミサイルが合計3発発射され、この内1発は正常に飛翔しなかった旨の指摘があることは承知しております。詳細については引き続き分析を行っているところであります。

【記者】昨日の5時59分のミサイルがICBM級だというお話は電話での会談でも共有されたということでよろしかったでしょうか。

【大臣】ICBM級のミサイルを含めた発射について話をしました。

【記者】今回の日米の共同訓練が厳しい安保環境を踏まえたものだというお話がありましたけれども、もう少し詳しく、今回のこの訓練に至った日米の意図であったりだとか、今回のこの訓練の意義について教えていただけないでしょうか。

【大臣】わが国を取り巻く安全保障環境、非常に厳しくなっております。北朝鮮のこのICBM級を含む弾道ミサイルの発射、極めて高い頻度で、かつ新たな態様での繰り返しでの発射をしておるわけですけれども、また、核実験についても早ければ今月中に実験を実施するための準備が整う可能性もあると、こういうふうに考えているところです。一連の動きについて、このわが国、地域、国際社会の平和と安定を脅かす、そういうものであるわけで断じて容認することはできません。こうした厳しい安全保障環境のもとで、空自のF─15は米空軍のF─16と共同訓練を実施したということであります。

【記者】関連しまして、今回のミサイル発射を受けて訓練を行うことになったというふうに認識してもいいのでしょうか。

【大臣】わが国の訓練については、特定の国を対象としたものではありませんけれども、わが国の周辺の厳しい安全保障環境の中で、しっかりした連携をとっていくと、日米間でですね、そういう必要性に応じたものであります。

【記者】空自のF─15と米軍F─16の今回の訓練なんですけれども、先ほどあったように厳しい安全保障環境を踏まえてのものだとおっしゃっていました。更に安全保障環境が厳しくなれば、追加のオプションということは検討されているのでしょうか。

【大臣】日米間では様々な意見交換をしておりますけれども、その中で、また状況によって協議されることだと思っております。

【記者】北朝鮮のミサイル発射は、5月に入ってから4回ありましたけれども、いずれも北朝鮮側から報道なり発表がないんですが、その点について、防衛省としての分析、あるいは大臣の所感をお願いします。

【大臣】こういったことについても、様々、今、情報収集・分析中であります。

北海道東方でロシア軍大演習 6・10

ロシア軍の関係です。6月9日、海上自衛隊が、北海道東方の太平洋で活動するロシア艦艇5隻を確認いたしました。
ロシア国防省は、ロシア軍太平洋艦隊の艦艇40隻以上・航空機約20機が参加する大規模演習を、6月3日以降、太平洋において実施するとしており、これに関連して、千島列島周辺海域及びわが国のEEZを含む三陸沖の海域において、ミサイル発射等を目的とした航行警報を発出しています。
今回海上自衛隊が確認したロシア艦艇の活動は、こうした演習の一環であると考えており、今後、三陸沖においても演習を実施する可能性について、注視する必要があります。
また、ウクライナ侵略を行う中にあっても、ロシア軍が極東においても同時に活動し得る能力を誇示する狙いもあると考えており、関連する軍事動向について、重大な懸念を持って情報収集・警戒監視を継続してまいります。
それから北朝鮮についてですけど、6月5日、北朝鮮によるミサイル発射事案については、現時点までに得られた様々な情報を総合的に勘案すると、北朝鮮は、同日9時台、これまで公表していた6発の弾道ミサイル以外にも2発の弾道ミサイルを発射し、これらは極めて低い高度で短時間の飛翔をしたものと考えられます。
この2発の弾道ミサイルの詳細については、引き続き、情報収集及び分析を行っているところですが、いずれにいたしましても、わが国の領域やEEZへの弾道ミサイルの飛翔は確認されておりません。
私は、3年ぶりに対面の開催となりますシャングリラに出席いたします。
この後、6月10日から6月12日の日程でシンガポールを訪問いたします。
会合においてはスピーチを行う予定であります。ロシアによるウクライナ侵略が示すインド太平洋地域への含意や、この地域の平和と繁栄に向けたわが国の取り組みについて説明するとともに、ルールに基づく国際秩序の維持・強化のために国際社会が結束して対応することの重要性、これを各国に訴えてまいりたいと思います。
この機会を利用して、2カ国、3カ国間の会談を行ってまいります。できる限り多くの国と行い、地域における安全保障上の課題について率直な意見交換をしてまいりたいと考えております。今回は、開催国シンガポールのウン国防大臣、オーストラリア・マールズ国防大臣、ニュージーランドのヘナレ国防大臣、カナダ・アナンド国防大臣、中国の魏鳳和(ギ・ホウワ)国防部長、また日米豪、日米韓防衛相会談など、時間が許す限り会談を行うべく、最終的な調整を進めてまいります。