永田町ファイル

記者会見 9・2

玉木雄一郎代表

2つの国政選挙

【玉木新代表】代表に再選されましたが、これから3年の任期のうちに衆議院選挙、参議院選挙があります。この2つの国政選挙に勝ち抜くことを最優先の課題として取り組む。政策的にはこれまで掲げてきた3本柱、人づくりこそ国づくり、自分の国は自分で守る、給料が上がる経済の実現をやります。これは前原誠司候補とも選挙中話をして大きな方向はすべて一致していましたので、ここに磨きをかけていきたいと思います。

さらに、短期的な課題としては、わが党の浅野(哲)エネルギー調査会長がエネルギー対策をまとめて6月20日、西村経済産業大臣に持っていきましたが、ガソリン、電気代、水道代の引き下げを2カ月以上も前から申し上げています。特に、高騰するガソリンの値下げなどのエネルギー対策には積極的に動いていきたい。臨時国会を早く開くことも求めていきたい。前に進めるべき政策は引き続き協力しつつ国民のために行っていきます。

【記者】榛葉幹事長の続投を承認しましたが、その理由は。

【玉木代表】投票結果が80対31でしたので、基本的には現体制が承認されたと受け止めています。いま、榛葉幹事長は候補者擁立や各党調整でしっかりと汗をかいてくれています。かつ次の選挙がいつか分かりません。新しい体制よりも現体制を維持しながら改善点は改善しつつ衆院選に向けた選挙態勢を構築していきたいので続投をお願いしました。

【記者】幹事長以外の人事について。前原候補は選挙中に新しいスターを育てていかねばいけないと主張された。

【代表】今後の人事は、幹事長とも相談しながら早急に新体制を発足させたいと思います。ただ、現体制が承認されたということですので、大筋は現状を変えずに行きたい。若い次世代を育てていくというのは組織全体の課題でもありますので、そういった観点から多少見直しはしていきたい。

【記者】代表選のダブルスコア以上の勝因は何ですか。

【代表】いま、国民民主党自身が生まれ変わろうとしています。議員の就職活動のためでなく国民のための政策枠組みなので、そこにこだわって結党しました。支持率は低いですが、新しい人材で国民民主党自体がアップデートされていっています。条件さえ整えば野党を固めて、というのは一理あります。ただ、それは国会議員の選挙のためにつくる枠組みですし、そのことによって地方議員や党員、サポーター、参議院議員を振り回してきました。そういう教訓もあります。トータルでみると今の路線で行けという票が多かった、ということです。

【記者】対立候補に冷や飯を食わせる党もありますが、挙党体制を組む党もあります。どうしますか。

【代表】21人しか国会議員がいませんので、冷や飯も温かいご飯も分けてる余裕はありません。そこはノーサイドで考えていきたい。あらゆる力を結集していくことが重要です。

【記者】前原さんの人事をどうしますか。また、一体感をどう作っていきますか。

【代表】人事は未定です。今後は、議員間コミュニケーションを図っていくことが必要だと思います。小さい政党なので、できそうでなかなかできていない。党の運営方針とかについては、役員以外の人とも率直に意見交換をしていきたい。そういう場を設けたいと思います。

【記者】選挙戦でもたびたび論点になりましたが、与党との付き合い方をどうしていきますか。また、他の野党との候補者調整と向き合い方について。

【代表】現在の党の活動方針は2月11日の党大会で決めています。そこに書いている通り、政策実現のために与野党を超えて協議、連携していくのがベースです。政策本位でいいものはいい、悪いものは悪いということでやっていきます。これが各党との向き合い方の基本となります。選挙に関しては、相手のあること。向こうが乗ってこないと話にならない。話はしてみようと思いますがなかなか難しい。「だったらうちが譲れ」という結論しかありませんので、そこは実際は難しい。ただ、立憲民主党との関係は、連合とよく話をしていきたいと思います。

【記者】まことしやかに玉木さんが代表になったら入閣するのではないかといううわさをここ数日よく耳にします。

【代表】去年の12月にも私が入閣すると報道されましたが、私はしません。いろいろ情報戦もあり、この選挙戦の最後の方でそういう話が出て、そのことが一定の投票に影響を与えたのかなと思います。どこから出た話か知りません。

【記者】自公政権との関係について。代表選の中で政権の一翼を担いたいという発言がありました。それは今の自公政権も指していますか。また、連立入りの打診があって選挙区情勢がクリアされれば受ける考えはありますか。

【代表】全くそういう打診はないので答えられません。そもそも日本では、アメリカやイギリスのような2大政党制的な政権交代は現実的でないと思います。これは制度設計者の一人の細川護熙さんも、日本の場合、選挙制度は穏健な多党制がなじむのではないか、とおっしゃっています。

今後、新たにできる連立政権の一翼を主要な核として担いたい、そのために実力を付けていくというのが今の方針です。連立を組む時は最低限2つの条件を満たさないといけません。政策が、幅の中で一致すること。それが穏健な、という意味。もう一つは選挙区調整がちゃんとできること。いま、どの党とも選挙区がダブっています。それ故、わが党が連立を組める政党は存在しません。そういう状況の中ではきちんと自分たちが力を付けていく。へんに近づいていくと与党に飲み込まれる以前に他の野党に飲み込まれる。そこは過去の歴史を見れば明らかです。

【記者】次の衆院選の目標は。地方の党勢拡大に向けてどうしますか。

【代表】戦略的に、限られたリソースの中で効果的な擁立をしていきたい。11ブロックあるので1ブロック平均3人を立て、全体で33人態勢で臨むのが今の体力です。2年前は27人を立てました。目標は大型選挙ごとに議席も総比例得票数も着実に2割ずつ増やしていく。2025年の参院選は、すごく大切です。応援いただいている4つの産別(産業別労働組合)がうちから出しても安心して4人通るんだという枠組みをきちんと作ることがわが党が伸びていくためにも最低限必要な条件だと思います。いまのペースでいくと、次の衆院選で380万票、その次の選挙で460万票。そうなると、4人は確実に通りますから。戦略的な擁立と戦略的な取り組みをこれからも進めていきたいと思います。

連立への誘いには乗れない

記者コラム

自民党からいくら連立への誘いがあっても乗れない。それが小政党・国民民主党の腹の内だ。昨年12月にも連立入りが取り沙汰され、今回の代表選でも、玉木雄一郎氏が反自民・野党結集論者の前原誠司氏に圧勝して再選されたため、連立構想が再び浮上しているのだ。玉木代表は「どこから出た話か知りません」と語るが、自民サイドが流しているのは明らか。

岸田首相は、今年1月、2年連続で労組「連合」の新年交歓会に出席。2月の自民党大会で連合との連携強化を盛り込んだ運動方針を採択した。4月には、首相が連合のメーデー中央大会に出席するなど傾斜が露骨だ。狙いは明らか。次の衆院選に備えて、立憲民主党など野党の分断と連合組織票の取り込みを図り、あわよくば国民民主を連立政権に組み入れて政権基盤を安定化させようというものだ。

政策面で是々非々の協調路線をとる玉木・国民民主は、自民にとって格好の狙い目だと言える。もちろん、弱小政党が閣内入りすれば政策実現に大きく前進できる。だが、選挙区調整ができなければ次の選挙で自公を相手に戦わねばならない。そうなると、次の選挙では全滅を覚悟しなければならず、一時的に閣僚ポストという〝蜜〟にありつけるだけのこと。玉木代表が「へんに近づいていくと与党に飲み込まれる以前に他の野党に飲み込まれる。そこは過去の歴史を見れば明らか」と連立をキッパリ否定するのはもっともである。