今月の永田町

外国人パー券購入にもメスを

疑惑晴れぬ自民の資金問題

自民党の派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を巡り、野党側は衆参両院の政治倫理審査会で厳しく追及したものの、疑惑は全く晴れないままだ。加えて、政治資金改革の本丸であり国益に直接かかわる外国人によるパーティー券購入問題も与野党で議論が深まっていない。派閥を解散し、処分さえすれば国民の信頼回復につながるというのは岸田文雄首相の筋違いの思い込みに過ぎない。

衆議院の政治倫理審査会が2月29日、開催され岸田首相も出席した。現職首相の出席は初だ。岸田首相は「政治不信を引き起こしていることに総裁として心からお詫び申し上げる」と謝罪。会計責任者だけでなく国会議員も責任を負う「連座制」の導入と政治資金規正法の改正に意欲を示した。ただ、新たな説明や実態解明はなく、予算委員会などでの答弁の域を出なかった。また、同会に出席した二階派(志帥会)の武田良太事務総長も、派閥の収支報告書の虚偽記載に関し、自身と二階派の二階俊博会長は「関与していない」と主張するばかり。

翌3月1日に行われた衆院政倫審でも、安倍派(清和政策研究会)の事務総長を経験した塩谷立元文部科学相、西村康稔前経済産業相、松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長の4人が出席こそしたが、焦点となっていた派閥からのキックバック(還付)の不記載は誰がいつから行ったのかや安倍氏がキックバック廃止を指示した後、いつ誰の指示で再開されたのか、その時、幹部らは違法性を認識していたのかなどについて全く明らかにならなかった。

参院の政倫審でも14日、安倍派に所属していた世耕弘成前参院幹事長を始め安倍派と二階派の31人と自民を離党した大野泰正参院議員が出席し、同派内での還流再開の経緯などが追及された。世耕氏は「派閥の中での意思決定の過程を知り得る限り話したい」として臨んだが、疑惑が晴れたとは言い難い。これでは自民党の支持率が反転・上昇することはあり得ない。

確かに岸田首相はまず岸田派の解散を宣言。自民党政治刷新本部は党則、規律規約、党の運営指針「ガバナンスコード」を改正する先頭に立った。その主なポイントは、資金力と人事への影響力を背景とした旧来の「派閥」の存続・新設を禁止したほか、政策集団の存続は容認するが政治資金パーティーの禁止や会計責任者が逮捕・起訴された場合、議員本人も処分し、重い順に離党勧告、党員資格停止、選挙で非公認、国会・政府の役職の辞任勧告、党の役職停止など。本部長の岸田総裁は「なぜ政治家が責任を取らないと多くの国民が見るのか。原因が特権意識にあるならば是正し、改革を進めなければならない」とし、党の信頼回復につなげたい意向を強調した。

しかし、国民の知りたい疑惑の解明には全くつながっていない。自民党幹部は「これまであいまいだった処分の基準を明確にした」と意義を語るが、一方で「安倍派還流の具体的な事実は不明なまま。脱税として納税するのかしないのかも分からない。現職議員を処分しても軽ければ世論が反発する」と指摘。別の中堅幹部は「外国人によるパーティー券購入による政治への介入といった不当な問題が抜け落ちている」と批判する。

この外国人による購入は、国益に直結しかねない深刻な問題ととらえるべきだ。政治資金規正法は第22条の5で、「何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織(中略)から、政治活動に関する寄附を受けてはならない」と、外国人の献金を禁じている。外国人や外国人が過半数の株式を保有し上場5年未満からの企業からの政治献金を禁じている。違反すれば3年以下の禁固か50万円以下の罰金で罪が確定すれば公民権が停止される対象となる。

東西冷戦中のソ連は日本の政治家個人や政党、特に当時の社会党や共産党に手渡しのみならず貿易面での価格操作などさまざまな形で秘密資金を使って政界工作を行い国策に悪影響を与えてきた。そのことを裏付ける膨大な数の機密文書がソ連崩壊後のロシアで解禁され、日本で大きな問題となった。民主党政権時代には前原誠司外相が在日韓国人から25万円の違法献金を受けていたことで外相を引責辞任している。外国勢力が政治活動や選挙に影響を与えて国益を損なう危険性が潜んでいるのだ。

ところが、政治資金収支報告書はパーティー券に関しては、記載規定が緩く「抜け道になっていて、別の献金窓口があるようなものだ」と指摘する自民党本部職員は「首相が率いてきた宏池会主催のパーティー『宏池会と語る会』会場に在日中国人がいつもたくさんいた話もある」とも語る。林芳正官房長官は親中派の筆頭格だが、林氏主催のパーティー券の大量購入という形で中国勢力が接近しているとすれば大きな問題である。

この問題について自民党の有村治子氏は6日の参院予算委員会で、「外国による日本の政治、その他の分野に関する情報収集や日本各界への影響工作など日本への有害活動に的確に対処することは重要だ」として、外国人によるパーティー券の購入を禁止すべきだと岸田首相に提案した。

これに対して首相は「問題意識は共有する。自民党として何ができるか考えてみたい」と回答した。だが、言葉に出したものの行動が伴っていない。森山裕総務会長が「目的は政治資金を得るためとみなしてもおかしくないので、パー券を寄付と同じ扱いにし、政治資金規正法の改正も視野に議論をする必要がある」との考えを示したように、与野党が議論を行い速やかに合意に至らねばならない。

ところが、問題は立憲民主党の出方だ。立憲は、外国人を「パートナー」と位置付
け、一人当たり年会費500円を徴収してすでに「政治過程に参画」して都道府県連の構成員にもなれることを党規約に盛り込んでいる。国会で自民党追及の先頭に立っているが、「外国人と政治」とのかかわりでもメスを入れることなどできるのか。今国会の焦点の一つはそこにある。