アジア短信
10月20日(火)
タイに7カ月ぶり観光客 タイ政府は新型コロナウイルス対策で停止していた外国人観光客の受け入れを7カ月ぶりに再開した。受け入れ幅を徐々に増やし、停滞する経済の再建につなげたい考えだ。
21日(水)
香港 銀行に国安法「違反疑い」取引の通報義務化 香港各紙は、香港国家安全維持法(国安法)違反が疑われる取引に気付いた銀行には、関係当局への通報が義務付けられると報じた。マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金への対処に関する手引を香港金融管理局(中央銀行に相当)などが9月末に改定、国安法に関する条項を追加した。手引に法的拘束力はないが、地場銀行だけでなく香港に拠点を置く国際銀行にも順守が求められている。
台湾に巡航ミサイル売却、総額1880億円─米 米政府はスタンドオフ型の空対地巡航ミサイルなどの台湾への売却を承認し、議会に通知した。総額は約18億ドル(約1880億円)。台湾への軍事支援を強化する狙いだが、中国の反発を招くのは確実とみられる。
22日(木)
正恩氏、中国義勇軍の墓地参拝で友好アピール─北朝鮮 北朝鮮の朝鮮中央通信は中国人民義勇軍の朝鮮戦争(1950〜53年)参戦から70周年に合わせ、金正恩朝鮮労働党委員長が平安南道檜倉の中国軍兵士の墓地を参拝したと報じた。また、中国の習近平国家主席(共産党総書記)名義の花籠が墓地に供えられた。
集会禁止を解除、若者らに譲歩─タイ タイ政府はバンコクでの5人以上の集会禁止などを規定した緊急措置を解除した。反政府運動の激化を受けて発令していたが、「暴力行為が減り、通常体制で対応できる状態になった」と説明。抗議を続ける若者らに譲歩する姿勢を示すことで、自制を促す狙いがあるとみられる。
23日(金)
中国が国防法改正案 中国の習近平指導部は、海外での経済活動をはじめとする「発展の利益」を保護するため、軍事力を動員すると定めた「国防法」改正草案をまとめた。米国との関係が悪化する中、草案は軍事紛争に発展する事態も想定して作成されたもようだ。習国家主席は演説で「われわれは国家主権や発展の利益が損なわれるのを決して座視しない」と語った。
国民に「抗米」鼓舞、朝鮮戦争参戦70年で習主席演説─中国 中国の習近平国家主席は北京の人民大会堂で開かれた朝鮮戦争(1950〜53年)参戦70年の記念大会で演説し、対中圧力を高めるトランプ米政権との対決姿勢を鮮明にした。北朝鮮を支援し米国に対抗した「抗米援朝(中国語で抗美援朝)」の戦いで「米軍の不敗神話を打ち破った」と主張。米中対立の長期化を見据え、国民の団結や奮闘を促した。
中朝貿易は1〜9月7割減、コロナ影響 中国税関総署が発表した貿易統計によると、1〜9月の北朝鮮との輸出入総額は前年同期比72・8%減の約5億3100万ドル(約555億円)と激減した。国連制裁で貿易が制限されているのに加え、新型コロナウイルスの発生に伴い北朝鮮が1月下旬から対中国境を封鎖している影響が出た。
25日(日)
李健熙サムスン会長死去─韓国 韓国サムスン電子の李健熙会長が死去した。78歳だった。健熙氏は、大規模な設備投資と果敢な海外進出で、サムスン電子をスマートフォン、半導体、薄型テレビなどで世界トップクラスのIT企業に成長させた。
26日(月)
台湾に地対艦ミサイル売却へ、総額2500億円 米政府は地上発射型の対艦ミサイルシステムの台湾への売却を承認し、議会に通知した。最大100基で、売却総額は23億7000万ドル(約2500億円)と推定される。
米メディア6社に財務報告要求─中国 中国外務省の趙立堅副報道局長は談話を出し、ABCなど米国の6報道機関に対して、7日以内に中国に駐在する人員、財務、経営、不動産に関する情報を書面で報告するよう求めると述べた。米政府が中国の6報道機関を「外交機関」に追加認定したことへの対抗措置とされる。
27日(火)
米印2プラス2で中国牽制 米国とインドはニューデリーで、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を実施した。両国は、中国の進出をけん制する「自由で開かれたインド太平洋」構想を日本と共有するパートナー。協議に際し、機密情報の共有や高度な軍事装備品の売買を可能にする協定に調印、連携の深化を確認した。
中国、ガソリン車を2035年に全廃へ中国工業情報化省などは2035年に新車販売のすべてを電気自動車(EV)などの新エネルギー車(NEV)やハイブリッド車(HV)にする方針を明らかにした。ガソリンエンジン車は市場で販売できないようになる可能性が高い。各国が環境対応車の優遇を進める中、中国政府はさらに一歩踏み込む。
ウイグル族迫害は「集団虐殺」、超党派議員が非難決議案提出─米上院 米上院の超党派議員団は中国・新疆ウイグル自治区に暮らすウイグル族など少数派イスラム教徒に対する中国当局の迫害は「ジェノサイド(集団虐殺)」に相当すると非難する決議案を提出したと明らかにした。
2019年の対マカオ直接投資、前年から167・8%増の約7039億円 マカオ政府統計調査局が発表した2019年の直接投資統計によれば、同年に海外(中国本土、香港、台湾含む)からマカオへ流入した直接投資額は前年から167・8%増となる539・9億マカオパタカ(約7039億円)に上った。
28日(水)
対中傾斜にくぎを刺す、米長官がスリランカ訪問 ポンペオ米国務長官は訪問先のスリランカ最大都市コロンボで、親中派のラジャパクサ大統領と会談した。スリランカは中国からの借款を返済できず、港を奪われるなど「債務のわな」に落ちたと指摘されている。ポンペオ氏は会談で対中傾斜をやめるようくぎを刺したとみられる。
ZTE、3Qは増収減益 通信機器大手の中興通訊(広東省深セン市、ZTE)は2020年第3四半期(7〜9月)決算発表した。売上高は前年同期比37・2%増の269億3000万元(約4190億円)、純利益は67・8%減の8億5500万元だった。
29日(木)
インドの感染者800万人超 インド政府は新型コロナウイルスの累計感染者数が804万203人になったと発表した。死者は12万527人。800万人を超えるのは米国に次ぎ2カ国目。人口13億人超のインドでは、9月中旬を境に1日当たりの新規感染判明数の減少傾向が続き、10月19日以降は3万〜5万人で推移している。
李元大統領、懲役17年確定─韓国最高裁 韓国最高裁は在職中に多額の賄賂を受け取ったとして収賄、横領罪などに問われた李明博元大統領(78)について、弁護・検察双方の上告を棄却した。2月に二審で言い渡された懲役17年、罰金130億ウォン(約12億円)、追徴金約57億8000万ウォン(約5億3000万円)の実刑判決が確定した。李被告は近く再び収監される。
タイ東急百貨店が撤退へ 東急百貨店はタイ法人のバンコク東急百貨店が運営する「東急百貨店MBKセンター店」の営業を2021年1月末をもって終了すると発表した。タイに出店する日系百貨店では、百貨店「バンコク伊勢丹」が閉店したばかりで残るは「サイアム高島屋」のみとなる。
サムスン電子の7─9月期営業利益12兆3533億ウォンと58・8%増 サムスン電子は連結基準で7─9月期に営業利益12兆3533億ウォン(約1兆1360億円)を達成したと公示した。前年同期比で58・83%の増加で、新型コロナウイルスにより落ち込んでいた需要が増え、米国の中国ファーウェイ制裁により半導体部門が上昇し業績を牽引した。
30日(金)
マレーシア最大与党、コロナ禍後に総選挙要求 マレーシア連立政権の最大与党「統一マレー国民組織(UMNO)」は、新型コロナウイルス禍が去ったら総選挙を実施するよう求めた。
台湾GDP、第3四半期は前年比3・33%増 台湾主計総処が発表した第3・四半期の域内総生産(GDP)速報値は前年比3・33%増加し、約2年ぶりの大幅な拡大となった。ロイターがまとめた市場予想の1・5%増も上回った。ハイテク輸出が好調だったほか、消費者信頼感も回復した。
31日(土)
中国依存強め威嚇能力持て—習主席指示を報道 中国の習近平国家主席が、世界の産業チェーンの中国依存度を高め、原材料や部品の供給停止が外国に対し強力な威嚇能力を持つよう共産党の会議で指示していたことが分かった。共産党理論誌「求是」が4月10日の党中央財経委員会で行った演説全文をホームページに掲載した。
11月1日(日)
香港、民主派政治家7人逮捕 香港警察は5月に立法会(議会)で起きた小競り合いに関与した容疑で、現職議員を含む民主派の政治家7人を逮捕した。香港では民主派を標的にした取り締まりが相次いでいる。