内密出産ガイドライン

【大臣】冒頭6件申し上げます。
まず、雇用統計ですが、令和4年8月の有効求人倍率は1・32倍と、前月より0・03 ポイント上昇し、8カ月連続の上昇となり、都道府県の有効求人倍率は、前月に引き続き、全ての都道府県で1倍を上回りました。また、完全失業率は2・5%と、前月より0・1ポイント低下しました。 

求人・求職の動向、また労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は、求職者が引き続き高水準にあるなど、一部に厳しさがみられるものの、緩やかに持ち直しています。新型コロナウイルス感染症や物価上昇が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。

2点目、今年で76回目を迎える赤い羽根共同募金運動でありますが、明日10月1日から全国でスタートいたしますので、今日の閣議において、各大臣に共同募金へのご協力をお願いしました。

この運動は、時代の福祉ニーズに応じて我が国の地域福祉活動の推進に大きく貢献しており、近年は、災害時のボランティア活動の支援にも大きな役割を果たしております。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により生じている課題も含め、多様化かつ複雑化した地域課題に対応するための支援に取り組んでいます。

今年も、国民の皆様のより一層のご支援とご協力をお願いいたします。

3点目、オミクロン株対応ワクチンの職域接種についてであります。9月21日より申し込みの受付を開始したところですが、昨日29日15時時点で443会場から申し込みをいただいております。

申し込み会場数・接種回数については、厚生労働省において、逐次公表することとしております。これまで10月下旬から職域接種を開始する旨、お知らせしてまいりましたが、具体的に、10月24日の週から開始することといたします。

なお、すでに準備が整っている一部の接種会場については、10月17日の週から実施される予定であります。

過去に職域接種を実施した経験のある一部の会場に対して行った事前の意向調査では、約半数の会場から実施の意向をいただいたところですが、更により多くの企業や大学等の皆様に、是非、実施をご検討いただきたいと考えています。

ワクチンの供給量は十分に確保しているところであり、本年中に接種を希望する全ての接種対象者がオミクロン株対応ワクチンを受けられるよう、引き続き自治体や企業等と連携して取り組んでまいります。

4点目であります。本日、妊婦がその身元情報を医療機関の一部の者のみに明らかにして出産する、いわゆる「内密出産」に関するガイドラインを法務省との連名通知として発出します。

本ガイドラインは、いわゆる「内密出産」を医療機関が受け入れる場合に、関係各機関に求められる対応などをお示しするものであり、具体的には、産まれた子どもの保護の手順や診療録の扱い、出自情報の管理方法などを整理したものです。

厚生労働省としては、引き続き相談窓口の整備や包括的な支援の推進など、予期せぬ妊娠をした妊産婦の方などへの支援の充実に努めてまいります。

5点目でありますが、電子処方箋について、来年1月の運用開始に向けて、来月末から山形県酒田市を始めとした4地域でモデル事業を開始し、システムや運用面の最終検証を行うとともに、先進的な取り組みや課題をとりまとめ、全国の医療機関や薬局での円滑な導入に繋げてまいります。

電子処方箋について、それに先立ち、10月2日に対象地域を中継し「電子処方箋モデル事業フォーラム」を開催します。私からも、医療DXの大きな柱である電子処方箋の推進をお願いする予定です。 電子処方箋は、単に「紙の処方箋を電子化する」というものではなく、処方歴をリアルタイムで確認できるようになる、また、医療機関や薬局同士で、薬剤情報を簡単かつ即時に共有できるようになる、さらには、重複投薬の自動チェック等も可能になるなど、医療の在り方自体を抜本的に改革する、極めて意義深い取り組みであります。

全国の医療機関・薬局の皆様におかれましては、電子処方箋のメリットをご理解いただき、早期導入を改めてお願いします。

最後でありますが、台風15号により、静岡県で断水が依然として続いています。改めて、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に、心からお見舞いを申し上げます。

本日8時現在で、水道については、約11000戸が断水中であり、応急給水で対応中であります。静岡市で発生している断水については、取水口の流木撤去作業が終了し、これにかかる断水は、本日中を目途に解消される見込みです。また、水管橋の落橋による断水については、10月5日までに復旧する見込みとの報告を受けております。

厚生労働省では、9月27日に本田大臣政務官が、内閣府星野副大臣等とともに現地を訪れ、被災した水道施設をはじめとした被害状況を改めて確認し、私もその報告を受けたところであります。

引き続き、関係省庁や関係団体とも連携し、応急給水の体制整備や、水道施設等の被害の早期復旧を支援してまいります。

【記者】冒頭発言に関して、1点お伺いします。内密出産のガイドラインについて、改めてその意義をお聞かせください。

【大臣】先ほど申し上げたところでありますが、内密出産はすでにそうした事例もある中で、具体的に、内密出産を医療機関が受け入れる場合に、どういう対応が求められるのか、法務省と私どもの関係部局で連携しながら内容を整理させていただいて、産まれたこどもの保護の手順、診療録の扱い、出自情報の管理方法などを改めて整理し、お示ししたものであります。

【記者】内密出産のガイドラインについてお伺いします。今回、作成に当たって、熊本市の慈恵病院の方と、何回程度意見交換など議論をされたのかということと、検討の中で、慈恵病院と国で意見が異なった点があれば教えてください。

【大臣】細かいやり取りまで私のところまで上がってきておりませんかが、ただ、それぞれ色々と話を聞きながら、答えを出したものと承知をしております。必要があれば、また事務方から説明させま
す。

内密出産指針にジレンマ

記者コラム

厚生労働省と法務省が「内密出産」のガイドライン(指針)を発表した。予期せず妊娠した女性が他人に知られないよう、孤独に出産し、母親や赤ちゃんの命が危険に陥ったり、新生児遺棄につながったりすることは以前から問題になっていた。それを防ぐため、病院で特定の人だけに身元を明かして出産するのが内密出産だ。

海外では、人工妊娠中絶に厳しいキリスト教文化の国を中心に制度化させている国がある。日本では、15年前から「赤ちゃんポスト」を続けてきた熊本市内の病院が海外の例を参考に取り組みを始め、すでに7人の赤ちゃんが生まれている。

この動きに押されるようにまとめられたガイドラインには、生まれた子供が将来、自分の出自を知りたくなった場合に対応するため、医療機関が母親の身元情報を管理することや、子供の戸籍は市区町村長の職権で作成できることなどが盛り込まれた。

一方で、ガイドラインにとどまらず、制度化すべきだとの声がある。しかし、政府はこれには否定的だ。制度をつくれば、内密出産を増やしてしまう懸念があるからだ。ガイドラインにも「奨励するものではない」と明記した。ここに内密出産のジレンマがある。

現在、熊本市内の病院しか取り組んでいないが、ガイドラインが発表されて、対応する病院が増えれば、母親と赤ちゃんの命を守るための緊急避難的な措置で生まれる赤ちゃんが増えかねない。要は、性倫理が崩壊する社会の中で、予期せぬ妊娠をする女性を減らすことが本質的な課題なのである。