永田町ファイル

記者会見 3・5

岡田克也幹事長

政治団体間の資金の移動

【幹事長】衆議院の政倫審で疑問に思いましたのは、最初はキックバックを止めることが安倍(晋三)さんの下で話し合われたということですが、確か西村(康稔)さんは、キックバックを現金でやり取りするのは不透明なので止めると安倍さんが言ったという話で、ちょっと中身が変わりました。

キックバックを現金でやり取りすることも望ましいことではありませんが違法ではないので、振り込みにすればいいだけのことです。その振り込みができない理由があったから話し合われたということしか考えられません。

やはり違法性の認識を安倍さんは持っていて、そのことについて安倍さんも含め幹部が集まって議論したと。つまり、届け出をしていないお金のやり取りがなされているので、それを何とかしないといけないということです。何とかするための手段は二つしかなく、一つはきちっと届け出をする。しかし、前年までにはそのことがないのでそこの整合性を突かれるリスクがある。従って、そのものをなくしてしまうしか道はない。その違法なキックバックをどうやってクリアするかが議論されたのだろう。それ以外は整合性のある議論ができないはずだと思います。

参議院の予算委員会では、蓮舫議員が茂木(幹事長)、新藤さんの問題を取り上げました。いまだにこんなことをやっているのか、という感じがします。透明性を増すということで領収証は1円以上すべて保存する義務があって記載もしなければならないとなっているのにそれを事実上、形骸化される形で行っていたということになる。そういう人たちが閣僚や党の幹部をやっている資格があるのかと思います。そういう党がやっているヒアリングなどいい加減なものに思われてきてしまいます。

参院選の年には全額キックバックを認めていたという話が従来からあります。それについて石橋さんが総理に問うたところ、「把握できていない」という答えでした。把握できていないではなく、きちんと確認をすべきだと思います。もしそういうことになると、横領とか詐欺とかということが出てくる話です。そういったところが課題として残されたと思います。

【記者】政倫審についてです。参議院で出席議員の確認をするとともに具体的な日程を調整すると聞いています。これについての受け止めと参院の政倫審はどうあるべきかについて教えてください。

【幹事長】手を挙げた人は全員呼ぶという原則を確認してもらいたい。衆議院の方はそうでなく、党でブロックしていた可能性が高いということが後から分かりました。そういうことがないようにしてもらいたい。

【記者】公開、非公開の選択肢があるようですが。

【幹事長】それは公開以外にないと思います。

【記者】一方で、衆議院では下村(博文)さんが出席の意向があり、ほかにも手を挙げている人がいる。ただ、申し出はない状態ですが、こういう姿勢についてどう考えますか。

【幹事長】自分への疑念を晴らしたいと思う方は全員出ていただいたらいいのではないですか。下村さんはキーパーソンの一人です。記者会見でも、8月の会合で問題を合法化するためにこういうことがあると言った人がいると発言した人がいると話していて、その時点で違法性を認識していたか、違法性を前提としていたかのような議論を展開されていますので、そのことの確認も是非したい。

【記者】衆議院の解散について岸田首相は昨日、「全く考えていない」と述べました。今日は公明党の山口代表も信頼回復のトレンドに戻さない限り解散すべきではないと発言しました。解散については。

【幹事長】連立パートナーである山口さんが言えばそれなりの抑制力があるかもしれませんが、野党は何を言っても関係ありません。総理がやりたいと思えばいつでもできる。いつあってもいいように準備をしておかなければならない。ただし国民の皆さんがこれだけ疑念を持ち、政倫審での受け答えでさらに疑念が深まっている中で、このまま解散ということになれば、それは国民から厳しい批判を浴びることになると思います。

【記者】参院予算委で蓮舫議員が茂木幹事長や閣僚の政治団体間の資金の移動について追及していました。今後、党としてどう追及していきますか。

【幹事長】一部のメディアが報じたので認識はしていましたが、衆院では攻めの段階でしたので弾が散らない方がいいと考え温存してきました。参院で取り上げることにしましたので、同時並行してやっていきます。新藤さんは閣僚ですし、しっかりと質していきたい。裏金の問題をまずしっかりやる。事実解明、そして政治責任を追及する。二人には説明責任を果たしてもらいたい。

【記者】こうしたことをやっている立憲民主の議員はいませんか。

【幹事長】それはまだ分かりません。調べてみます。一種の抜け穴、脱法的なことなので。違法ではないかもしれませんが望ましいことではありませんので。

【記者】予算案の衆院通過の過程のことですが、立憲民主党としては予算委員長の解任や財務大臣の不信任案とかを出して、二日の採決をすべきではないと徹底的に主張していましたが、結局深夜に合意に至り、二日中の採決で合意しました。これはなぜ折れたのか、これでよかったのか。あれだけ野党第一党として抵抗していたのに中途半端ではないのかといった指摘が出ていますが。

【幹事長】山井(和則)さんの3時間の演説も含めてやり過ぎだと批判したメディアもありましたが、一方であそこまでやりながら、最後までやるべきではなかったかという意見もあります。私たちは4日採決を目指しました。4日にすることによって、年度内の自動成立がなくなります。そうすると緊張感のある審議が参院で可能になる。そしていろいろな譲歩も得ることができる。衆議院の場合も、最終的に政倫審が公開になったとか、あるいは政倫審そのものをやることになったとか、そういうことは採決日程の関係でわれわれがカードをもっていたからできたわけです。

皇位継承に関する論点整理

【幹事長】1つの特徴は、女性宮家の創設についても論点整理したこと。退位特例法(天皇の退位等に関する皇室典範特例法)の附帯決議では明記されていた論点だが、政府の有識者会議ではスキップされているような状態。附帯決議は全党一致でつけたので重いもの。附帯決議に基づいて女性宮家の創設等さまざまな論点を整理をした。これから衆参両院で議論される際の、わが党のスタンス、考え方をまとめた。こういうところはしっかり議論すべきというのはまとめた。

敵失選挙でも政権奪取は難しい

記者コラム

岸田文雄首相が4月28日投開票の衆院3補欠選挙に合わせた衆院解散を「全く考えていない」と発言したことに対し、岡田克也幹事長は「国民の皆さんがこれだけ疑念を持ち、政倫審での受け答えでさらに疑念が深まっている中で、このまま解散になれば国民から厳しい批判を浴びることになると」と述べ、4月に解散総選挙に踏み切っても自民の議席が大きく後退する可能性を指摘した。

野党にとって自民党の政治資金疑惑は攻めどころ満載だ。特に野党第一党の立憲民主党の泉健太代表は攻勢の流れに乗り「結集の機運は高まっている」と読み、次期衆院選で野党共闘を実現して政権交代を目指す考えを示している。そのための政権構想が「ミッション(使命)型内閣」である。

しかし、野党第二党の維新は90以上の選挙区で立憲と競合する見通し。泉代表や岡田幹事長の選挙区にも候補者を立てる考えだ。国民民主党と共に、憲法や安全保障、エネルギー政策などの基本政策の一致を困難視している。一致しやすい政策に絞って結集したい泉代表の思惑とは大きなズレがある。維新と国民民主を、自公両与党と並ぶ「悪政4党」と位置付ける共産党もこの政権構想に冷ややかである。

自民党の「政治とカネ」の問題での信頼失墜という敵失により国会で主導権を握っているかに見える立憲だが、政権奪取に向けた道筋は見えてこない。