霞ヶ関ファイル

記者会見 3・5

上川陽子外相

日韓関係1年間の回顧

【大臣】3月6日から8日にかけまして、ジャイシャンカル・インド外務大臣を外務省賓客としてお招きをする予定であります。この機会に、3月7日の夕方に、第16回日印外相間戦略対話を行います。私とジャイシャンカル外相との会談は、昨年9月以来、2回目となります。

分断と対立を深める今日の国際社会において、対話と協働を通じた新たな解決策をともに創り出していく「共創」が求められています。こうした観点から、我が国は、多様性を抱えつつ、独自の民主主義の歴史を有し、かつ、「グローバル・サウス」の代表格であるインドとの関係を特に重視しております。

日印両国は、「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の下、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、幅広い分野で協力を深化させるとともに、日米豪印やG4等を通じて緊密に連携してまいります。

【記者】ロシアの関係で伺います。ロシアの新しい駐日大使、ニコライ・ノズドリェフ氏が一昨日日本に到着しました。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、日露関係が悪化する中、1年以上不在だった大使が、ようやく着任することになります。大臣の受け止めや、今後の日露外交に、どう臨むのか伺います。また、外務省として、ノズドリェフ氏と面会予定かも併せて伺います。

【大臣】ノズドリェフ駐日ロシア大使が、3月3日に来日したと承知しております。
ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、引き続き、厳しい制裁を行うなどの取り組みを進めてまいります。同時に、漁業などの経済活動といった、日露が隣国としての対処する必要のある事項につきましては、我が国外交全体におきまして、何が我が国の国益に資するかという観点から、適切に対応してまいります。その上で、北方領土問題に関しましては、領土問題を解決して、平和条約を締結するとの方針を堅持してまいります。

ノズドリェフ大使との間におきましても、こうした方針の下、必要なやり取りを行っていきたいと考えております。

また、お尋ねのノズドリェフ大使との面会の機会につきましては、現時点で、具体的な日程につきましては未定ということであります。

【記者】米国は、5日、米国の大統領選挙に向けた予備選と党員集会が集中しますスーパー・チューズデーを迎えます。このスーパー・チューズデーですが、候補者選びについての山場となると注目されていますので、大臣が、どのような点を注目されているか、お伺いいたします。

【大臣】まず、日米同盟でありますが、我が国の外交・安全保障政策の基軸でありまして、我が国といたしましても、米国大統領選の動向につきましては、関心をもって注視している状況でございます。

その上で申し上げるところでありますが、日米の絆は、G7議長国の1年間を通じまして、より一層強化・進化しております。日米両国間の連携は、かつてないほど強固で深いと考えております。

日米同盟の、この重要性につきましては、米国におきましても、党派を超えて、共通の認識が存在しておりまして、政府といたしましては、これからも、こうした関係を更に強化すべく、努力してまいりたいと考えております。

【記者】昨年3月に、韓国の尹錫悦大統領が来日して、岸田総理と会談して、日韓関係が改善に向けて動き出してから、間もなく1年となります。この間、首脳間のシャトル外交が復活するなど、実際に日韓関係が大きく改善しましたが、一方で、韓国内で元徴用工をめぐって、日本企業側が敗訴する判決が続いたり、日本側に、いわゆる「呼応措置」を求める声も残っています。この1年間の日韓関係を振り返って、どのように評価されるか、また、特に、徴用工問題に関して、日本政府として、追加的な措置を取る考えがあるかどうかについてお聞かせください。

【大臣】日韓両国でありますが、国際社会の諸課題の対処に、パートナーとして協力していくべき重要な隣国同士であります。昨年来、日韓両首脳のリーダーシップのもと、日韓関係を積極的に動かしてまいりました。昨年だけでも、首脳会談が7回、外相会談が6回行われたところであります。昨年3月に、韓国政府が発表した、旧朝鮮半島出身労働者問題に関する措置の実施とともに、日韓の対話と協力は、低迷期を脱しまして、政治・安全保障・経済・文化など、様々な分野で、質量ともに力強く拡大している状況であります。また、現下の厳しい戦略環境のもと、日米韓の間の連携も重層的に進展しているという状況にあります。

こうした協力の拡大は、日韓双方の努力により、可能となったものでありまして、我が国自身の戦略的利益にも資する有意義なものと考えております。

日本政府といたしましては、労働者問題を含みます、様々な課題につきまして、引き続き、韓国側と緊密に意思疎通を図るとともに、日韓関係の改善を両国国民が、持続的に実感できるよう、取り組みを進めてまいりたいと考えております。

【記者】西アジア地域についてお聞きします。シリアは、ホムスでのアメリカ人を含む民間人の犠牲者を生んだ複数の都市への爆撃に関し、イスラエルを非難しています。イスラエルは本件爆撃への関与につき認めてもいないし否定してもいませんが、爆撃に対する日本政府の立場をお聞かせください。

【大臣】シリア側の最近のこの報道につきましては、承知しているところでありますが、イスラエルは、これまでのところ、攻撃を実施したか否かを含めまして、コメントしていないと承知しております。

いずれにいたしましても、我が国は、中東地域全体の情勢につきまして、高い緊張感をもって注視しております。引き続き、関係国と緊密に連携をしつつ、ガザ地区をめぐる事態の早期沈静化、そして、地域の安定化に向けた外交努力を粘り強く積極的に継続してまいりたいと考えております。

【記者】ウクライナ情勢について、ロシアの反体制活動家のナワリヌイ氏が獄死した件で、欧米の首脳は、「プーチンの指示でロシアが殺した」と激しく非難しています。他方、ウクライナの情報機関トップのブダノフ氏は、「彼は残念ながら自然死だ」とのコメントを残しています。しかし、フランスのマクロン大統領は、このタイミングでヒートアップし、「ウクライナへの長距離ミサイルの供与から、西側の地上軍の派兵まで、やれることは全てやる」とまで言い切りました。これが現実となれば、戦闘は激化し、世界を巻き込んだ大戦争に発展することは必至です。日本政府が、ウクライナ側に立ち続け、この戦争へ参戦する、そのような可能性はあるのでしょうか。

【大臣】まず、ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であります。欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分でありまして、また、このような、力による一方的な現状変更の試みを許してはならないと考えております。

こうした認識の下、日本は、G7を始めとする同志国と連携をし、ロシアの侵略を止め、一日も早く、ウクライナに公正かつ永続的な平和を実現するため、対露制裁と、ウクライナ支援を強力に推進してきているところであります。今後も我が国は、G7を始めとする国際社会と連携して、可能な限りのウクライナ支援を続けていく所存でございます。

その上で、一般論として申し上げるところでありますが、従来から、武力行使の目的を持って、武装した部隊、これを他国の領土、領海、領空へ派遣をする、いわゆる「海外派兵」は、一般に自衛のための必要最小限を超えるものでありまして、憲法上許されないと解してきているところであります。

【記者】ロシアについてお聞きします。鈴木宗男議員は、日本がロシア制裁を継続するのであれば、ロシアからの北方領土返還は見込めないと述べていることが報じられています。戦争が始まって2年がたちますが、ウクライナをめぐる問題においては、外交的に解決できると思いますか。それとも戦争しか手段はないと考えますか。日本政府の立場を教えてください。

【大臣】ロシアのウクライナ侵略でございますが、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であると考えております。現在も、ロシアは、ウクライナに対し、攻撃を続けております。また、プーチン大統領は、この併合したウクライナの一部地域は、交渉の対象ではないとの趣旨の発言を行うなど、ロシアが、和平に向けて歩み寄ろうとする兆しは一切見られません。

このような中におきまして、我が国の責務としては、引き続き、ロシアの侵略を止め、一日も早く、公正かつ永続的な平和をウクライナに実現すべく、対露制裁とウクライナ支援を強力に推進していくと、こうした方針で臨んでおります。