高齢健常者の社会参加必須 21世紀を乗り切るために

 20世紀の日本は、人口4385万人からスタートした。それが20世紀末には、1億2600万人にまでもってきた。

 ざっくり言って、20世紀には人口を3倍にしたことになる。ところが21世紀、この先の展望は明るくない。

 日本の人口の内部の構造変化に注目すると、日本の人口が1億人を超したのはオリンピックがあった1964年のことだった。それが2008年には、日本の人口がピークアウトし、減り始めた。すでにピークから200万人以上もの人口が減っている。

 今後、人口統計の中で大事な数字が、働ける労働者人口と高齢者人口の数だ。

 80歳以上は現在、100万人を超している。100歳以上が7万人を超した。以前は100歳以上というのは珍しがられたが、7万人以上が存在する。

 65歳以上となると3577万人という。

 重要なのは人口減だけではなく、急速に高齢化社会に入りつつあるということだ。しかも世界でも例を見ない異次元の高齢化だ。

 さらに2050年の80歳以上の人口が1600万人。100歳以上でも53万人を超し、100歳人生がリアリティーを帯びている。

 65歳以上は3800万人以上となる。

 日本の人口が一億人を超したのは1964年だったが、当時の65歳以上はわずか6・6%で、660万人でしかなかった。

 また日本の人口が1964年前後の1億人に戻るというのと、中身が全く違う人口光景が広がっている。問題は異次元の高齢化だ。

 人口が1億人を割るだろうと思われるのは、早ければ2048年だと試算される。その一億人に占める65歳以上が38%だから3800万人となる。

 高齢者は普通、65歳で定年退職する。それ以上は非生産労働人口という言葉が使われている。

 統計的には生産労働人口は64歳までと、されてきた。

 しかし、80歳でも7割は健常者だ。だから65歳以上でも、非生産労働人口と決めつけて、あとは余生だ、第二の人生とするのではなく、積極的に社会参加して、支える側に回る構造転換を遂げないと社会が持たない。

 これまで高齢化社会は、社会的コスト負担の増大とみられていた。例えば医療や介護、年金でも公的資金は持ち出しを強いられた。

 こうした思考では、高齢者時代を迎えることで、重苦しくなるという考え方だったが、ここで切り替えて、特に健常者として働ける高齢者を迎え入れるプラットフォームをどう作るか、日本の社会的活力の蘇生の息を吹き込むことになる重要テーマとして浮上してきた。